日本製という安心感がある国内木材も良いですが、横文字の木材名に惹かれたり、興味が出ることも多いと思います。
そこで今回は「国産木材の種類と特徴」に引き続き、「輸入木材の種類と特徴」について詳しく解説したいと思います。
「世界三大銘木」と呼ばれるとても有名な木も登場するので、是非家具選びの参考にしてみてください。
※「比重」とは、同じ体積の水に対する重さの割合です。比重が高ければ高いほど単純に重くなります。
家具の材料となる「輸入木材」の種類と特徴
チーク
- 加工性:普通
- 耐朽性:とても高い
- 強度:高い
- 色調:蝋状の滑らかな手触り。黒い縞がある。金褐色(経年変化によって濃い褐色に変わる)
- 比重:約0.6~0.7(重い)
- 原産地:東南アジア
非常に水に強いため、船材として昔から重宝されてきました。
表面は蜜蝋を垂らしたかのように艶やかで、とても良い手触りに仕上がっています。
また、「ウォールナット」「マホガニー」と共に世界三大銘木の一つとして知られており、家具では主に高級家具に使われることが多いです。
樹は最大で高さ45m、直径2.4mにまで育ちます。
ウォールナット
- 加工性:高い
- 耐朽性:高い
- 強度:高い
- 色調:木目が美しい薄褐色(経年変化によって濃褐色に変わる。)
- 比重:約0.6~0.65(重い)
- 原産地:北米東部
落ち着きのある色合いと高級感のある美しい木目が特徴で、"世界三大銘木"の一つに数えられているため、名前を聞くことも多いかと思います。
一般的には「ブラックウォールナット」のことを総じて「ウォールナット」と称することが多く、高級家具材として世界的に有名です。
また、日本の「クルミ材」と同種で性質も似ていますが、国産の「クルミ材」は貴重なため近年ではあまり出回っていません。
ビーチ
- 加工性:高い
- 耐朽性:低い
- 強度:高い
- 色調:薄い紅褐色で小さな斑点がある。
- 比重:約0.6~0.7(重い)
- 原産地:北米東部、ヨーロッパ
日本の「ブナ」と同種で性質もほぼ同じ。
ブナ同様、"曲げ加工"に向いているため、テーブルやソファ、チェアなどの「脚物家具」によく使用されています。
また、ブナの無味無臭という特徴を生かした"食器"も造られており、ナチュラル系のおしゃれな食器を求める人達から人気があります。
ちなみにですが、ブナの樹は高さ45mにまで伸びることがあります。
ハックベリー
- 加工性:高い
- 耐朽性:普通
- 強度:普通
- 色調:塗装性の良い淡い褐色
- 比重:約0.55(やや重い)
- 原産地:北米東部
家具材としてはやや珍しい木材。
堅さのバランスが良いため、ネジの保持力が高く、頑丈な作りが期待できます。
ただ、湿度による収縮率が高く、特に無垢材は乾燥すると割れてしまうことも。
それさえも木の個性として楽しめる方にはとてもおすすめです。
バーチ(ホワイトバーチ)
- 加工性:高い
- 耐朽性:低い
- 強度:やや高い
- 色調:ぼやけた木目が特徴。細やかな木肌。乳白色
- 比重:約0.65~0.7(重い)
- 原産地:北米東部
日本の「樺(カバ)」と似ています。
優しい色合いなので、ナチュラルテイストな北欧家具によく使用されています。
また、比較的安価で塗装性が高いため、例えばムラのあるブラウンに塗装したものが、ウォールナットの代用品として出回ることがあります。
家具以外にも、粘りと強度のバランスが良いため、"フローリング材"にも向いています。
アッシュ(ホワイトアッシュ)
- 加工性:普通
- 耐朽性:高い
- 強度:高い
- 色調:木目はシンプル。灰色がかった白
- 比重:約0.7(とても重い)
- 原産地:北米中東部
「ハックベリー」や「バーチ」と似た特性を持っています。
白っぽく、木目が単調なので、主張の少ないナチュラル家具に向いています。
「タモ」同様、バットの材料として知られており、樹は大きいものだと高さ40m近くまでになります。
ホワイトオーク
- 加工性:やや高い
- 耐朽性:高い
- 強度:高い
- 色調:淡い黄褐色
- 比重:約0.7~0.75(とても重い)
- 原産地:北米東部
北米で昔から様々な家具に使用されている万能な木材。レッドオークと比べて耐朽性に優れます。
日本では、「国産ナラ」の代用品として輸入されて以降、多く出回っています。
ちなみに、ホワイトオークは国産ナラ材とは別物ですが、質感の違いなどを見分けることは難しいため、「ナラ材のダイニングテーブルとホワイトオークのチェア」といった組み合わせも違和感なく合わせることができます。
レッドオーク
- 加工性:高い
- 耐朽性:やや高い
- 強度:やや高い
- 色調:淡い紅褐色
- 比重:約0.7~0.75(とても重い)
- 原産地:北米中東部
塗装性が高いため、丁寧に仕上げればとても艶のある仕上がりになります。
また、ホワイトオークと比べて狂いが出にくいのが利点。
ホワイトオークと同様に、家具材として重厚感のある木材で、綺麗なトラ目のような木目が特徴です。
メープル(メイプル)
- 加工性:低い
- 耐朽性:普通
- 強度:高い
- 色調:淡い赤褐色
- 比重:約0.7(重い)
- 原産地:北米北東部
表面はとてもきめ細かく、しっとりとした印象ですが、意外にも堅く重いため、頑丈な仕上がりが期待できます。
優しい色合いなので、ナチュラル・北欧テイストな家具との相性が抜群。
また、割れにくいため、バットの材料としても有名です。
樹は、30~40mにまで成長します。
チェリー
- 加工性:高い
- 耐朽性:普通
- 強度:やや高い
- 色調:オレンジ色(経年変化によって光沢のある赤茶色に変わる)
- 比重:約0.55~0.6(やや重い)
- 原産地:北米東部
経年変化によって"オレンジから赤茶色"に変色する様がとても美しく人気のため、色々な無垢材家具に使われています。
また、比較的軽く、それでいて十分に丈夫なので、現地では棺の材料としてもよく使われるそうです。
ちなみに、日本の「ヤマザクラ」と同種になります。
アルダー(オルダー)
- 加工性:とても高い
- 耐朽性:低い
- 強度:普通
- 色調:淡い紅褐色
- 比重:約0.45~0.55(やや軽い)
- 原産地:極東、北米西部、ヨーロッパ
堅いものが多い海外材の中では、やや傷付きやすいのが欠点ですが、逆に家具それぞれの個性として楽しめると思います。
色の明暗バランスが良いので、ナチュラルな雰囲気のインテリアにぴったりです。
比較的柔らかく、細やかな加工がしやすいため、義足の材料としても重宝されています。
パイン(ポンデロッサパイン)
- 加工性:低い
- 耐朽性:やや高い
- 強度:普通
- 色調:独特の光沢がある。黄白色(経年変化によって深い飴色に変わる)
- 比重:約0.4~0.5(やや軽い)
- 原産地:北米
カジュアルでカントリーテイストな家具によく合い、無垢材ならではの経年変化も楽しめます。
ただ、衝撃に弱く、傷付きやすいので注意が必要です。
ヴィンテージ感を重視するブランドの中には、シャビーテイストでドライな風合いに仕上げた「無垢古材」を天板として扱っているところもあります。
輸入木材 まとめ
「<海外>家具の材料となる「輸入木材」の種類と特徴」いかがでしたでしょうか。
有名な「ウォールナット」からやや珍しい「ハックベリー」まで様々でしたが、全体的に、日本のものより比重の重い木材が多いように感じます。
また、産地として北米東部が多いのは、単に自生分布率が高いからというだけでなく、しっかりとした木育管理が行われている一大林業地帯であることも理由の一つです。
是非木材についての予備知識を身につけて、家具をデザインだけではなく、素材という視点からも選んでみてください。
国産木材の種類や特徴に関しても、下記記事で紹介しているので「家具の知識を深めたい」という方は是非。
【 関連記事 】「<国内>家具の材料となる「国産木材」の種類と特徴」